「経営者らしい服装とは、どんな服装でしょうか?」これは簡単そうで、実は答えにくい質問です。
重厚なスーツや高級ブランドを思い浮かべる方もいます。しかし、立派に見せることばかりを優先すると、相手との間に必要以上の距離が生まれることがあります。
反対に、親しみやすさを意識しすぎてカジュアルに寄せると、重要な判断を担う人としての説得力が弱く見える場合もあります。
僕が経営者の装いで大切にしているのは、品格と親しみやすさの両立です。どちらか一方ではなく、その方の性格と会う相手に合わせて配分を変えていきます。
品格は「高そうに見えること」ではない
品格は、目立つブランド名や豪華な装飾から生まれるものではありません。体に合ったサイズ、場に合う服装、行き届いた手入れといった基本の積み重ねに表れます。
上質な服でも、肩が落ち、袖が長く、靴が傷んでいれば整って見えません。反対に、無理のない価格帯でも細部が揃っていれば、落ち着いた説得力が生まれます。
親しみやすさは、色と素材で加える
濃紺のスーツ、白いシャツ、濃いネクタイだけで全身を固めると、正式さは出ますが、場面によっては近寄りがたく見えます。
そんなときは、白を淡いブルーへ変える、ネクタイに柔らかな柄を入れる、起毛感のあるジャケットを選ぶなど、色と素材で緊張感を少し和らげます。
服の形を大きく崩さなくても、明るさと質感を加えるだけで話しかけやすい印象はつくれます。

ジャケットの輪郭が、相手との距離を決める
構築的な肩のスーツは、正式な商談や式典で頼もしさを伝えます。一方、肩まわりが自然なジャケットは、社内行事や少人数の会食で柔らかな印象をつくります。
どちらが優れているという話ではありません。相手との関係と、その場で担う役割に合わせて緊張感を調整することが大切です。
場面ごとに「品格7、親しみ3」のように考える
服選びに迷う場合は、品格と親しみやすさの比率を考えると整理しやすくなります。
- 初回商談や式典は、品格を強める
- 採用面接や社内懇親会は、親しみやすさを少し増やす
- 取材やプロフィール撮影は、会社らしさを加える
この比率は業種や本人の顔立ち、話し方によっても変わります。強い印象の方は服で柔らかさを加え、穏やかな方は輪郭のあるジャケットで説得力を補うと自然です。
自分を飾るより、相手が安心できる装いへ
経営者のファッションは、自分を大きく見せるためのものではありません。相手が安心して話を聞き、本来の人柄や仕事の内容に集中できる状態をつくるためのものです。
品格と親しみやすさのちょうどよい配分は、職業だけでは決まりません。顔立ち、体型、話し方、会う相手まで重ねて考える必要があります。
Royal Stylingの個人向けスタイリングでは、こうした条件を一つずつ伺い、その方にとって自然な距離感を装いに落とし込みます。服装だけが目立たないのに、なぜか印象に残る。その状態が、経営者にふさわしいファッションだと僕は考えています。




