皆さん、こんにちは。パーソナルスタイリストのコバヤシシゲユキです。
前編の「既製品を自分だけの一着に。銀座『ミタケボタン』で楽しむクレイジーボタン」では、私物のブレザーを持って銀座のミタケボタンを訪ね、ボタンを選ぶところまでをご紹介しました。
そのボタンの付け替えが、ようやく完成しました。今回は後編として、クレイジーボタン仕様になったジャケットの表情と、平置きで組んだ3つのコーディネートをご紹介します。
クレイジーボタン仕様のジャケットが完成しました
今回ボタンを付け替えたのは、私物のBEAMS Fのダブルブレストのネイビージャケットです。見慣れた一着ですが、選んだボタンが実際に付くと、やはり印象が変わります。

色も意匠も異なるボタンを組み合わせました。
前編では生地の上に並べて見比べていたボタンが、今はジャケットの一部になっています。黒地に金色の意匠が入ったもの、立体感のあるもの、銀色に光るもの。一つひとつに目が留まるのが、完成してから眺める楽しさです。

ネイビーのダブルブレストに、選んだボタンが加わりました。
全体で見ると、ネイビーのダブルブレストが持つ端正な雰囲気はそのまま。ボタンを替えたことで、その中に自分の好みが加わりました。服の形を大きく変えなくても、小さなパーツで表情は変えられるのだと感じます。
ゴールドとシルバー、異なる意匠を一着の中に
もともとのブレザーも、そのままで十分によい一着でした。何か不満があって変えたかったわけではなく、今回は遊び心でクレイジーボタン仕様にしてみたのです。
ボタンの色もデザインも、あえてそろえていません。ゴールドとシルバー、動物や紋章、帆船など、違う表情を持つボタンを組み合わせています。
ただ、元のボタンも残したかったので、すべてを交換したわけではありません。正面の6個のうち1個は、オリジナルのボタンを残しています。
すべて同じボタンで整える良さもありますが、今回は、一つひとつを選ぶ楽しさをそのままジャケットに残したいと思いました。色や意匠に違いがあっても、ネイビーの生地の上に収まるメタルボタンという共通点があります。そこが、一着として自然にまとまって見える理由の一つだと思います。

フロントと同じように、色と意匠の違いを楽しめます。
袖口は、片方4個のうち、それぞれ2個ずつ元のボタンを残しました。そこにミタケボタンで選んだボタンを加え、ゴールドとシルバーを混ぜた組み合わせにしています。
並べ方にもこだわり、左右で異なる配列にしました。同じボタンでも、並ぶ順番が変わると表情が違って見えるのが面白いところです。写真を見て、どれがオリジナルのボタンか分かりますか?
「クレイジー」という名前ほど、全体が奇抜になるわけではありません。少し離れるとネイビージャケットとして見え、近づくとボタンの違いに気づく。そのくらいの遊び方が、私にはちょうどよく感じられます。
ベースはBEAMS F、内側にはFOX BROTHERSの生地タグ
ベースにしているのは、BEAMS Fのオリジナルジャケット。内側には「BEAMS F」のブランドタグが付いています。

もう一方には、「FOX BROTHERS & CO.」の生地タグ。「MADE IN THE West of England」の文字も確認できます。FOX BROTHERSの生地を使った一着です。
実はこの生地タグ、販売時には袖先に付けられているものです。私はビームスのスタッフさんにお願いして、ジャケットの内側に付けてもらっています。

ビームスのスタッフさんにお願いして、内側に付けてもらいました。
こうして残しておくと、どの生地を使ったジャケットなのかが分かります。そして何より、生地のタグはそれぞれに個性があって可愛いんです。内側を開いたときに目に入る、こうした小さな楽しみも好きです。
気に入っているジャケットの形と生地を生かしながら、ボタンだけを自分で選び直す。ベースの良さを残して楽しめるところも、今回の付け替えで気に入っている点です。
白シャツとグレースラックスで、王道の組み合わせに
まずは、白シャツ、グレーのスラックス、茶のドレスシューズを合わせたコーディネートです。ネイビーとグレーの落ち着いた組み合わせに、白シャツで明るさを加えました。

シャツ:ユナイテッドアローズ
パンツ:GTA
靴:J.M.WESTON
ポケットチーフ:リベラーノ&リベラーノ
(全てスタイリスト私物)
服の色数を抑えているので、ボタンの違いも自然なアクセントになります。ジャケットに遊びがある分、ほかのアイテムはシンプルに。それだけでも、全体のバランスは取りやすくなります。

白シャツを軸に、ボタンとポケットチーフがアクセントになります。
胸元にはポケットチーフを添えました。フロントと袖口で異なるボタンが見えても、白シャツとネイビーの組み合わせが、すっきりした印象をつくってくれます。

艶のある革が、グレーのスラックスを引き立てます。
足元は、艶のある茶のドレスシューズ。グレーのスラックスと合わせると端正にまとまり、茶色がネイビーとの間に柔らかさを加えてくれます。
色落ちデニムとブラウンローファーで、軽快に
次は白シャツをそのままに、グレーのスラックスを色落ちしたデニムへ。足元もブラウンのローファーに替えました。

ジャケットを軽快に楽しむ組み合わせです。ジャケット:ビームスF
シャツ:ユナイテッドアローズ
デニム:HYKE
靴:ジョンロブ
(全てスタイリスト私物)
同じジャケットでも、パンツが変わるとぐっとカジュアルになります。デニムの淡い色がネイビーとの濃淡をつくり、ローファーが軽快さを添えてくれます。
ここでは、白シャツを合わせることが全体を整えるポイントです。デニムで崩しても、上半身にきちんとした印象が残ります。ボタンの遊びも、こうした少し気楽な組み合わせによくなじむと思います。
カーゴパンツと白スニーカーで、もう一段崩してみる
3つ目は、オリーブ系のカーゴパンツと白スニーカーを合わせたコーディネート。白シャツとネイビージャケットを軸に、パンツと靴でさらにカジュアルにしてみました。

シャツ:ユナイテッドアローズ
パンツ:RRL
靴:アディダス
(全てスタイリスト私物)
カーゴパンツには、スラックスとは違う無骨な表情があります。そこにダブルブレストのジャケットを合わせることで、普段着の中にも端正さが残ります。
白スニーカーは、シャツの白とつながって足元を軽く見せてくれます。ネイビー、白、オリーブ系の色でまとめれば、クレイジーボタンのジャケットも、日常のコーディネートに取り入れやすくなるのではないでしょうか。
既製品を、自分だけの一着にしていく
前編でお伝えしたかったのは、既製品にも、自分で選び直せる余地があるということでした。今回、その小さな選択が実際の一着になりました。
新しい服を買う楽しさとはまた違って、すでに持っている服への愛着が深まる。銀座で見比べて選んだ時間も、ボタンを見るたびに思い出せます。
さらに、スラックス、デニム、カーゴパンツと組み合わせを変えれば、一着のジャケットから違う表情を引き出せます。手を加えることと、着こなしを考えること。その両方で、手持ちの服を楽しんでいきたいと思っています。
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